20万点超えの商品数でナレッジマネジメントを実現! 現場の知見が可能にする、運用に最適化されたCRMシステムとは?

オムロン株式会社 様

  • CRMコンサルティング
  • メーカー
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~やっぱり業務プロセスをしっかり整備してシステムを作り込んだから、できたのだと思います~(森田様)

ISSUE 課題

  • 個人の知識を「お客様相談室」組織の知識とし顧客対応(内部ナレッジ・FAQ)に活かしたい

  • 保守期限が近づいているオンプレミス型のCRMシステムを最適なものにリプレースしたい

  • ナレッジマネジメント運用をシステムに組み込んで内部生産性を高めたい

INSTALLATION SERVICE 導入
サービス

  • 業務アセスメントの実施

  • CRMシステムをSalesforceに統一

  • ベルシステム24独自のフレームワークを活用したナレッジマネジメントの導入

RESULTS 成果

  • 業務課題の見える化だけでなく、目指すべき姿が具現化できた

  • 運用知見を駆使したシステム構築で、現場の負担軽減と顧客満足度向上の両立が実現できた

  • ナレッジが「お客様相談室」全体で活用することができ、脱属人化や顧客ニーズにあったFAQ創出に貢献した

オムロン株式会社様は20万点を超える幅広い商品を扱い、その膨大な数の商品の問い合わせを全て内製の「お客様相談室」で対応されています。
非常に高度な専門性が求められる顧客対応の中で高い顧客満足度を維持しているものの、オムロン様はCRMシステム、ナレッジマネジメントの点で大きな課題を抱えていらっしゃいました。顧客の仕事を前に進める「基本品質」、競合他社との違いを出す「差別化品質」を実現するために、課題解決を目指すオムロン様にベルシステム24は業務コンサルティングで伴走しました。そして、現場を熟知しているからこそできるシステム構築、ナレッジ整備で課題解決に貢献しました。
今回はオムロン様にそうしたベルシステム24のコンサルティングがどのようなものだったか、そしてその効果についてお話を伺いました。

お話を伺った方

ソリューション営業本部カスタマーサポート部コンタクトセンタ 課長 森田 尚起様
ソリューション営業本部カスタマーサポート部コンタクトセンタ 新村 直也様

取材日(2024年7月2日)時点

森田様
「オムロン株式会社は、自動化で社会課題を解決していくことを目指している会社です。その中で私たちが担当しているインダストリアルオートメーションビジネス(IAB)では、生産現場で使用される制御機器を扱っています。実はオムロン全体の中でもIABが多くの事業ボリュームを占めていて、その他が電子部品、健康機器、社会インフラを支えるシステムに関する事業構成になっています。
私たちの運営する「お客様相談室」の特徴は、約20万点に及ぶ商品数の多さです。また、顧客はほとんどが製造業ですので、B to Bの業態で実際にお電話をしてくる方もほとんどがプロフェッショナルです。そうした顧客に私たちは主に商品の使い方を中心とする技術相談対応で、顧客の仕事を前に進めることに貢献しています。それだけではなく、時には機材の選定など、営業担当に近いような対応が求められることもあります。私たちは顧客の仕事の手が止まった時に、それを前に進めることを手助けする、そうした専門性を意識しています」

ソリューション営業本部カスタマーサポート部コンタクトセンタ 課長
森田 尚起様

オムロン様が抱えていたふたつの課題

新村様
「2020年当初、当社が抱えていた課題は大きくふたつありました。ひとつはCRMシステムのリプレース、もうひとつはナレッジマネジメントの導入です。
CRMシステムに関しては3つの理由から切り替えを必要としていました。ひとつはコロナ禍でコンタクトチャネルが多様化し、ニーズも変化していく中で、有人チャット・チャットボット・FAQなどオムニチャネルへの対応が求められていたことです。
もうひとつは、その当時のシステムがいわゆるオンプレミスのシステムで、保守期限が迫っていました。サービス維持のためにはリプレースが急務の状態でした。
最後はシステムをセンター内にある自社保有のサーバーで運用していたため、BCPの観点から不安があったことです。昨今、求められているような多拠点分散運営やテレワークなどに対応するためにも、どこでも運用ができるようにする必要がありました。この3つの理由から、CRMシステムの刷新を計画していました。
また、ナレッジに関しても非常に深刻な問題がありました。私たちは顧客満足度の調査では高い評価を得ていました。その一方で、そうした顧客への回答の情報源というのは紙のカタログであったり、個人で持っているPDFなどの資料であったりして、組織としてのナレッジマネジメントができていませんでした。
さらに高齢化の問題があります。ナレッジが属人化していたため、ベテラン相談員が退職すると、彼らが持っているナレッジが離散してしまう恐れがありました」

ソリューション営業本部カスタマーサポート部コンタクトセンタ
新村 直也様

業務アセスメントから始める

~結果としては、業務アセスメントによってセンターの課題が浮き彫りになったことは本当によかったと思っています~(新村様)

新村様
「当社がSalesforceを使い始めた2021年度はまだベルシステムさんとは出会っていませんでした。(Salesforceの)有人チャットとナレッジの二つの機能のみを部分的に使用しており、CRMは古いシステムのままでした。その時にナレッジも作ったのですが、ナレッジマネジメントの知見もなく、役割も決まっていない中で作ったため、運用にマッチしてないものが出来上がってしまいました。結果、ほとんど使われませんでした。
いよいよ翌年(2022年)には旧システムがエンド・オブ・ライフになるので、SalesforceにCRMもリプレースすることになったときに、コンタクセンターの森※を通じてベルシステムさんと出会いました。
前任のコンタクトセンタの担当者が、実際にベルシステムさんのセミナーを受けたりもしました。それで、こうしたシステムの導入には業務とシステム、両方に精通したパートナーじゃないとダメだということが分かりました。その後、ベルシステムさんと実際にセッションの場を設けさせていただき、これはいけると私もインスピレーションを感じました。
ベルシステムさんにはまず業務アセスメントからやって頂きました。こちらとしてはシステムのリプレースを焦っていたのもあり、最初は足踏みしてしまっているようにも思えたのですが、結果としては、業務アセスメントによってセンターの課題が浮き彫りになったことは本当によかったと思っています」

※コンタクトセンターの森・・・ベルシステム24が運営するコンタクトセンターを起点とした課題解決のヒントやソリューション、また製品情報などを提供するポータルサイト

森田様
「今まで色々なシステムベンダーや外部の人と付き合いがあり相談もしていたのですが、ベルシステムさんはコンタクトセンタを実際にやっているというのが一番の期待でした。もちろん顧客や商品は全く違うのですが、でも、現場の運営について何か分かってくれる安心感というのがありましたね」

CRMシステムをSalesforceに統一

顧客応対の流れとシステムが上手く連携しているから入っていける、そうベテランのメンバーが言ってくれました~(森田様)

新村様
「Salesforceに統一した最大の利点は、将来の拡張性が高まったことです。既存のメール、チャットに加え、今後チャットボットやビデオチャットなどを増やすことも容易にできるようになりました。年3回のアップデートが行われることや、簡単な変更が内製化できるようになったという点も大きいです。今までのシステムですと、アップデートだけでなく項目名を1個変えるだけでも四半期に1回、何十万という予算を充てて外部に委託しなくてはなりませんでした。
あとは管理面です。リーダーはリアルタイムでメンバーの状態を可視化ができるようになりました。レポートダッシュボードで、困っているメンバー、長時間案件を抱えていたり、何件も抱えていたりするメンバーも一目でわかりますし、そうしたメンバーが何人いるかも把握できるので、すぐにサポートできます。その結果、お客様をお待たせせず、顧客満足につなげることができている点は大きなメリットです」

森田様
「切り替えは3月にカットオーバーで2月ミドルぐらいからトレーニングを始めましたが、現場の要望自体は前年の12月には具体的にチェックしていました。現場からフィードバックをもらいながらやっていきましたが、その時はすごく反発もありました。これはできない、絶対無理です、のようなことを言うメンバーもいました。
でも、3月のカットオーバーの直前にはベテランのメンバーも率先して練習に参加してくれて、できる限りこちらも操作に慣れてもらえるような環境つくりをしました。
それで、よく覚えているのですが、3月6日の月曜日にカットオーバーした時に、すっと何事もなく行ったんです。必ず「何か」があると覚悟をしていましたが、実際は何も起こらずスムーズに新システムが立ち上がりました。
実際にベテランのメンバーに聞いてみると、意外と前よりいいと言うんです。見栄えは変わっているけれど、顧客応対の流れとシステムが上手く連携しているから入っていける、そうベテランのメンバーが言ってくれたので、それはすごいと思いました。
やっぱり業務プロセスをしっかり整備してシステムを作り込んだから、できたのだと思います」

ナレッジマネジメントこそが本当の目的

新村様
「リプレースはあくまできっかけなので、ここからもっと進化するためにはナレッジマネジメントの導入が必須でした。ただ、これだけの多品種、少量の、色々な商品群があって、内容も様々で、技術相談で難しいとされているコンタクトセンタで、どうやってナレッジを整備するのかは私たちもすごく悩みました。そのため、まずはコールリーズン分析で1年分の問い合わせを可視化し、一問一答型のナレッジでカバーがしやすいものにスコープを絞りました。スコープは全問い合わせの6.8%とごく一部でしたが、絞ることで効果が見えてきて、現場も実感でき、定量的な数値も上がっていきました。具体的には、以前作成し活用できていなかったナレッジが約3万件あったので、それをまずSalesforceに組み込みました。相談員には問い合わせが入ったら、ナレッジを毎回検索して、ヒットしたらリンクすることを徹底的にやってもらいました。するとリンク率が30%、3件に1件はナレッジがあるということになりました。何回もリンク付けされたものは、FAQサイトに外部公開していきました。この一年で、このようなナレッジマネジメントが本格的に回り出しました」

ナレッジマネジメントを進めて生まれた効果

休みの間もそのFAQがあったことで、多くの顧客を救えたということなんですね~(森田様)

新村様
「内部と外部のふたつで効果がありました。
内部の効果は対応時間の短縮です。スコープの範囲で、40%削減し、1件20分かかっていた対応時間が12分に短縮できました。また、一線回答率(折り返しせず一回の応対で完結する率)が13%アップしています。
また、定量化はできていませんが、新人の育成期間も短縮できていると思います。ナレッジをまず見て、わからないことがあれば人に聞くという運用にしているので、多くの場面でナレッジを見て解決が可能になっています。
外部の効果として、半年で約1,000件の新しいFAQを公開しており、3万件以上のアクセスがありました。それと半比例するように、問い合わせは500件以上減っています。お客様の自己解決が増えているということを物語っている数字だと思います。
有人対応でも、相談員によるFAQ紹介を積極的に行っています。FAQには画像が掲載されているものも多いため、口頭でご説明するより意思疎通が早くなり、対応時間の短縮にも効果的です。
お客様からは『こんなFAQも用意されているんですね!次回は検索してみます!』と言っていただけて、FAQのプロモーションにも繋がっています。
FAQ全体のアクセス数は毎月約10%ずつ、数千件単位でアップしていますので、これからの変化が楽しみです!」

森田様
「ひとつ具体的なエピソードを話しますと、今年の4月に私たちのコンタクトセンタに60件ほど似たような問い合わせがありました。詳細は省きますが、要するにある商品が使いたいのにうまく使えないという問い合わせでした。その原因がおそらくWindowsのアップデートにあるのではないかということが分かりました。Windowsの話ですのでオムロンとしても直接手は出せませんが、ある設定をひとつ変えると使えるという暫定対策があるということが分かりました。それでゴールデンウィークの前の日、4月26日にFAQを作りました。それを作れたのは今年の4月に新しく組み入れたリクエスト機能のおかげだと思っています。こういうナレッジを作成してほしいということを現場からリクエストできるようにしたのです。実際にリクエストがどんどん上がってきたので、そのトラブルにも気づくことができました。26日の16時ぐらいに暫定対策が明確になり、すぐさま新村がその場でFAQを作り、その日のうちに公開しました。
結果、ゴールデンウィークが明けて、そのFAQのアクセス数が400件もありました。やはり困っているお客様がそれだけたくさんいたわけです。休みの間もそのFAQがあったことで、多くの顧客を救えたということなんですね。その後、恒久対策が分かったので、現在は作成したFAQを恒久対策に修正して公開しています。今でもそのFAQは3000件中で20位のアクセス数になっています。以前だったらそもそも気づかなかった、埋もれてしまったはずのナレッジにリクエスト機能を入れたことで気づくことができました」

ナレッジマネジメントのその先へ

新村様
「生成AIを活用して、お客様相談室を更に進化させていきたいです。具体的には、お客様の音声をテキスト化し、ニーズを基にナレッジマネジメントの進化、商品開発などの上流改善にも活かしていきたいと考えています。これを実現するためには、生成AIとセンター活用の豊富な知見をもった、ベルシステム24さんに引き続きお手伝い頂きたいと考えています」

森田様
「色々なコンテンツは私たちで責任を持って作り上げていきますが、それをどう今のシステムに乗せて、どうやって顧客に見せるかという導線のところをベルシステムさんと一緒に考えていきたいと思っています。どんな手段を使ったら顧客の仕事を前に進めることができるのかということを、顧客の仕事の進め方をイメージして考えることが大事だと思います。また、私たちだけだと内部視点になってしまうので、外部的なトレンドもベルシステムさんからいただきながら、色々と議論を尽くしてよりよいものを作っていきたいと考えています」

記事の中で出てきたリクエスト機能は、現場が気軽に声を上げられる環境を作りたいというオムロン様の要望を汲み取り、ベルシステム24の担当者がシステムに組み入れたものでした。
今回の取材にはベルシステム24側の担当者も同席し、その中でも対面でコミュニケーションを重ねたことが今回の成功に繋がったという話がありました。
オムロン様がコンタクトセンターのプレゼンスを上げるという目的のもと、高い視座に立ち改革を進めようとしたからこそ、ベルシステム24は自分たちの知見をフルに活用してその改革を下支え出来たということが記事の中からもうかがえると思います。
生成AIなどの新しい技術を活用する上でもナレッジマネジメントの整備は欠かせない要素です。
これからもベルシステム24はオムロン様のコンタクトセンターの更なる高度化、CX向上を側面から支えていきたいと考えています。

オムロン株式会社 様

企業サイト:https://www.omron.com/jp/ja/

オートメーションのリーディングカンパニーとして、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品、駅の自動改札機や太陽光発電用パワーコンディショナーなどの社会システム、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開し、世界130ヶ国以上で商品・サービスを提供しています。

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