4000時間近い業務の削減にも!オムニチャネル化したコンタクトセンターが描く自治体DXの現在地と未来

藤沢市 様

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  • データ活用・クラウドサービス
  • 官公庁/自治体/教育
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~伴走型の支援を実践していただけているところが、ベルシステムさんの強みなのかなと考えています~(鶴小屋様)

ISSUE 課題

  • 窓口の数が多く、市民がどこに問い合わせをすればよいかわからなかった

  • 市職員が問い合わせ対応に追われて、本来の業務に集中できなかった

INSTALLATION SERVICE 導入
サービス

  • 行政では珍しいオムニチャネルによる問い合わせ窓口の一元化

  • コンタクトセンターのオペレーターによる原則ワンストップでの対応

  • 問い合わせ内容のナレッジ化とそれを活用したFAQのチューニング

RESULTS 成果

  • 開設から一か月でSLA※を全て達成

  • 市職員に対して、一年間でおよそ3750時間近い業務の削減

  • FAQの充実により、市民の自己解決が増え、問い合わせそのものが減少

SLAService Level Agreement)は事業者と利用者の間で結ばれるサービスの品質保証

自治体のデジタル化をけん引する存在ともいわれる藤沢市様。そのDX推進において重要な役割を担う「藤沢市コンタクトセンター」は2023年10月に開設されました。ベルシステム24とBlueship※は運用、システムの両面からコンタクトセンターの開設そして、その後の運営に深く関わっています。開設時に藤沢市様にインタビューした事例紹介の記事はDX推進を目指す多くの自治体様から反響がありました。

今回は、そうしたコンタクトセンターの開設からこの4月で1年半が経過するタイミングで、これまでの具体的な成果を藤沢市様に伺いました。

※Blueship社はベルシステム24と自治体DXを支援する住民接点サービス開発に向けた業務提携契約を締結している企業

お話を伺った方

市民相談情報課  鶴小屋 祥 様
      同  清水 涼二 様

取材日(2025年3月17日)時点

あらためて、「藤沢市コンタクトセンター」とは?

鶴小屋様
「藤沢市コンタクトセンターは、市に関する情報や行政サービスの内容、手続きなどの質問にお答えする総合お問い合わせ窓口となります。コンタクトセンターでは、電話でオペレーターに問い合わせができるほか、ウェブ上に開設されている市民ポータルサイト「ふじまど」において、パソコンやスマホなどを使って市役所に多く寄せられる質問とその回答を閲覧することができます。また、FAQで疑問が解決しない場合には、チャットやメールを通じてオペレーターに直接問い合わせをすることも可能となっています。市民の皆様が時間や場所にとらわれることなく、市役所に関する疑問を解決することができる仕組み、それが藤沢市コンタクトセンターです。

コンタクトセンター以前は、代表電話交換とコールセンターの併用という形で運営しており、電話番号もふたつに分かれていました。そのため、市民から見ると、問い合わせの番号がふたつあり、かつそれぞれの受付時間や受付日も異なっている状態でした。ホームページ上の問い合わせフォームも複数あり、さらにはメールでの問い合わせもできるなど、市民が適切な回答を得るためにどのチャネルを使えばいいかが、分かりづらかったのです。

このようにマルチチャネルでの対応だったのが、コンタクトセンターの開設でオムニチャネル化したことにより、原則コンタクトセンターでのワンストップでの対応が実現できました。職員側としても、以前は市民からのよくある問い合わせの対応に時間を要し、通常業務を行う上でも支障が出ていました。こうした問題の解決にもコンタクトセンターが寄与しています」

開設から一年半が経過して

~3750時間分の業務の削減に繋がったという効果が出ていることになります~(鶴小屋様)

鶴小屋様
「前身の時と、一年間の数字で比較した時に職員に取り次がれる電話の件数は約45000件減少していました。仮に一件あたり電話対応に5分ほど職員が要していたと仮定すると、3750時間分の業務の削減に繋がったという効果が出ていることになります。
また、メールとチャットの対応については、これもコンタクトセンターにおいて、一年間で約5000件対応していただいています。コンタクトセンターの導入以前は、メール対応については、ほとんどが各課の代表メールアドレスに届き、市の職員が対応していましたので、こちらも大きく業務量の削減に貢献していると思っています。
定性的な効果として、コンタクトセンターは問い合わせに対して原則ワンストップで回答することを前提に運営していますので、市民にとっては、たらい回しにされたり、回答までに時間がかかったりするといった課題の改善に寄与しています。
また、コンタクトセンターは午前8時から午後9時まで年中無休で運営していますので、平日に問い合わせができない方や、選挙などの休日に開催されるイベントの問い合わせ先としても機能しています。市役所が閉庁している時間帯における問い合わせ窓口として、市民の皆様からも一定の評価をいただいていると感じています」

市民相談情報課 鶴小屋 祥 様

期待以上の成果が出ている

~実際にコンタクトセンターがワンストップで対応することで業務が軽減されたとの具体的な声が職員からあがっています~(鶴小屋様)

鶴小屋様
「率直に言うと期待以上でした。初月でもSLAを超える数値を達成いただいたので、そこは私たちの想像以上の成果だったと思います。
先日実施した利用者満足度調査でも、応対品質の評価については「よかった」、「ややよかった」が大半を占めており、市民の方にも一定の評価をいただいていると考えています。
職員に対しても、任意ではありますが全庁アンケートを実施しました。その中でのコメントを一部紹介させていただくと、「丁寧な受け答えをされていることと、ホームページなどを確認した上で、不明な場合にエスカレーションしている印象が一次対応者として評価できる部分が多い」ですとか、「コンタクトセンターで問い合わせを受け止め、FAQを元に回答いただけることで、各課への問い合わせが減っていると感じる」など、実際にコンタクトセンターがワンストップで対応することで業務が軽減されたとの具体的な声が職員からあがっています。

またFAQを充実することで、市民の皆様がそれを見て自己解決できますし、仮に問い合わせがあったとしても、コンタクトセンターのオペレーターが、そのFAQを見て回答してくれるようになります。このふたつによって自分たちの課にかかってくる電話が減るという理解が職員側に広がったと思います。そのため、自然に各課においてもFAQをもっと充実させていこうという意識が高まりつつあるのを感じています。
FAQは職員側でもコンタクトセンターのシステム、ServiceNow®※の機能を使って、随時アップできますし、ベルシステムさんからも、市民からの問い合わせに対応している中で、FAQに足りない部分があると感じれば、随時ご提案をいただいています。

あと細かい話にはなりますが、市役所のホームページは課の数が多い分、ページ数も多くなっています。そのため管理し切れてないところもあります。オペレーターさんがホームページを見ながらご案内をいただく中で、ここのリンクが切れていますよとか、ここは古い情報が載っていますよといった指摘をしていただくこともあって、そうした点も各課は助かっていると思います」

※ServiceNowはServiceNow, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標

伴走してもらえることが強み

鶴小屋様
「以前の取材の際にもお話ししましたが、コンタクトセンター構築前に、ベルシステムさん側のご提案で、庁舎内に来ていただいて、一ヶ月程常駐していただきました。市内を実際に回っていただいたり、各課の業務を把握してもらったりなど、ただの委託事業者というよりは、コンタクトセンターを一緒に作っていくメンバーという姿勢で臨んでいただいたと思います。そのサポートを心強く感じましたし、その印象は現在も変わっていません。

コンタクトセンターの運用を開始した後についても、もちろん全てが順調に回っているわけではなく、実際に電話の問い合わせなどで取り次ぎの間違いが起こってしまったりとか、保留時間が長いといったようなご指摘をいただいたりということはありました。
そういったご指摘を受けた際に、ベルシステムさんの責任者の方にお電話をしたら、1、2時間で事実確認をしていただけます。その上で、そうした事象が今後発生しないためにはどうすればいいのかという解決策も一緒に考えてくださり、それを現場で実行していただいています。こうした点を大変心強く感じています。そのような、伴走型の支援を実践していただけているところが、ベルシステムさんの強みなのかなと考えています」

蓄積したデータが根拠になる

~蓄積された根拠に基づいて施策を実施するということが少しずつできてきている~(鶴小屋様)

鶴小屋様
「入電の状況、問い合わせ対応状況は日毎で報告をいただいています。前身の時も同じようにデータの提出はありましたが、一番違う部分は応対履歴まで全て報告、蓄積がされている点です。そうしたデータがあるからこそ、問い合わせや取り次ぎが多い課からは、蓄積されたデータをもとに問い合わせの傾向を分析して、FAQの充実とか、市のホームページの掲載情報や、発送物に記載する情報の充実などに活用したいという声があがっています。

また、新規事業を予定している課において、これまでの入電の実績や、問い合わせ状況を分析することで、新規事業を開始した際に寄せられる問い合わせの件数などもあらかじめ想定して、人員配置を算出するためのデータとして活用したといった事例もすでにあります。

蓄積された根拠に基づいて施策を実施するということが少しずつできてきているというのは成果のひとつだと考えています」

最初の想定通りに稼働できている

清水様
「私は去年(2024年)の4月に配属されたのですが、10月に実際のオペレーションの現場視察をさせていただいて、とても驚きました。応対だけでなく、入力のスキルももちろん高いですし、電話の取り次ぎの方法も整備されていて、ハード面に関しても問題なく対応されていました。きちんとオペレーターさんを教育していただいているのだと実感しました。
配属されるまでは、コンタクトセンターに対する知識がなかったため、現場視察の際には色々と注文をつけるようなこともあるのかもしれないと思いながら伺ったのですが、全くそんなことはありませんでした」

鶴小屋様
「今、清水が言っていた通り、皆さんしっかりと対応されていたので、この姿を職員みんなにもぜひ見てもらいたいと思いました。
皆さんのおかげで、コンタクトセンター開設後は大きな運用の変更もなく、想定通りに稼働できています。運用開始前、業務委託契約を結ばせていただいたのが2023年の4月だと思うので、4月から9月末までの6ヶ月あるかないかぐらいの期間の中でシステムも一から作り上げ、そのシステムを使って、オペレーターがどのような運用をしていくのかも決めていきました。Blueshipさんも含めて、3者で、毎週、話し合いをしながら作り上げたので、稼働後にここが足りなかったとか、これを見直した方がいいとかいうことが起らなかったのだと思います」

清水 涼二 様

さらにナレッジを活用していく

~そうしたオペレーターの生産性の向上といった部分で生成AIを活用していきたいと考えています~(清水様)

清水様
「今後の展望ですが、生成AIを使って、応対時の通話内容を要約することで、通話終了時のオペレーターの作業を軽減したり、通話内容から回答に最適な市のホームページやFAQを表示することで、回答提供までの時間を削減できるんじゃないかと思っています。そうしたオペレーターの生産性の向上といった部分で生成AIを活用していきたいと考えています」

鶴小屋様
「今後はナレッジの有効活用の事例をさらに増やしていきたいと思っています。
一例として、毎年季節的なイベントを行っている課や、納税通知のような季節的な通知物を発送している課と言った特定の課を対象として、これまで蓄積されたナレッジを有効活用することによって、市民から直接寄せられる問い合わせの件数自体を減らしていくような取り組みができないかと考えています。
ただ、ナレッジの蓄積と言っても、現状は一件ずつ見ていかないと分析ができないという状況です。ベルシステムさんには、そうしたところで、例えばツールを活用するなどして、問い合わせ傾向の分析や、そうした分析を踏まえたご提案をいただけると嬉しいです」

インタビューの最中に、鶴小屋様から「そういえば、ここまでほとんど何も変えずに来れていますね」という言葉がありました。前回のインタビュー時にも話されていた、開始前のしっかりした準備によりここまで大きな運用変更を迫られることなく運営ができている、この点がお話を聞いていてとても印象に残りました。その中で、SLAの達成、業務の効率化など多くの成果もあがっています。
また今後の展望でも述べられていますが、蓄積されたナレッジは生成AIの登場などもあり、ますます活用の可能性が広がることが期待されています。
ベルシステム24はこれからも藤沢市様のDX推進を様々な面から伴走していきたいと考えています。

藤沢市 様

企業サイト:https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/

神奈川県の東南部に位置する人口44万人(2025年3月推計)の市。2021年4月にデジタル推進室を新設し、「藤沢市DX推進計画」及び「藤沢市スマートシティ基本方針」を策定。地域で育まれたコミュニティ、官民連携、テクノロジーの活用を組み合わせて、ニーズに合ったサービスの提供や市民生活の質の向上により、誰もが安全安心な生活が送れる藤沢市の実現を目指しています。

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