お話を伺った方
マーケティング部 戦略基盤チーム 副部長 岡田 堅様
同チーム 和気 あすみ様
取材日(2024年7月18日)時点
急激で、かつ繁閑差のある問い合わせの増加に対応したい
VOCを重視し、顧客の声をより深く理解したい
企業貢献に繋がるようなカスタマーサクセスを実現したい
インバウンドとアウトバウンドの振り分けで柔軟な人員配置を実現
深いプロダクト理解によるVOC収集
窓口対応に留まらない、様々な角度からエンドユーザーのための業務支援を実行
安定的な業務量を実現することで退職抑止にも繋がり、5年間で退職者ゼロを実現
顧客の潜在的な要望を拾い上げ、サービスやプロダクトの開発に貢献
プロダクトの品質チェック、マニュアルやガイドの作成の補助など、様々な形でCX向上に貢献
2014年に株式会社ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社の合弁会社として設立され、現在はベネッセホールディングスの100%子会社となっているClassi様。
中高生向けの教育プラットフォーム『Classi』や、小中学校保護者向け連絡ツール『tetoru(テトル)』といったサービスで、子どもたち一人ひとりが主体的に学ぶ意欲と学び続ける力を育む教育を推進しています。
ベルシステム24はClassi様の設立当初から、サポートデスク(主に教員からの問い合わせ対応)を受託していました。その後はインバウンドに加えて、『Classi』の新規校獲得に向けたインサイドセールス、設定登録サポート、継続促進などのアウトバウンドも受注して業務規模を拡大してきました。
今回はベルシステム24を業務委託パートナーではなく、カスタマーサクセスパートナーだと評する、Classi様にどのようにしてその信頼が形作られたのかを、具体的な委託の効果とともにお話しいただきました。
マーケティング部 戦略基盤チーム 副部長 岡田 堅様
同チーム 和気 あすみ様
取材日(2024年7月18日)時点
岡田様
「『Classi』は主に高校や中高一貫校向けのICTサービスになります。利用者は先生、生徒、保護者となり、学習や校務の支援であったり、あるいはコミュニケーションツールであったりというところがメインとなっていますが、開始当初から比べると、現在では様々な機能が増えています。教育現場の広範な課題をICTで解決し続けているサービスです。
一方、『tetoru(テトル)』については、2022年から開始した、主に公立の小・中学校向けの保護者用連絡ツールとしてサービスを提供しています」
岡田様
「サービス開始当初の事業課題としては、ICTに対して興味関心はありつつも、どう使っていいのかわからない、あるいはICTの教育利用にネガティブな現場の声に対峙しながら、啓蒙や普及をどうしていくかにありました。
しかし、次第に状況も変化し、コロナ禍で社会環境の変化が進む中で、他社の様々なICTサービスも増えてきました。その中で各サービスや機能の違いや特色、学校側の課題解決につながるサービスは何かなど、問い合わせを通じて求められるレベルも変わっていきました。
サービスの立ち上げから、利用者の数は順調な右肩上がりとなり、1年足らずで利用者が倍増する時期もあり、それにともなってサポートデスクの状況も大きく変化しました。特に利用開始時の設定登録に問い合わせが集中しました。学校が新学期シーズンとなる3、4月が繁忙となり、スポットでコミュニケーターを増員するなどの対応に迫られました」
岡田様
「2021年頃から問い合わせの量は減少傾向となりました。困りごとの自己解決を促進するためにご利用ガイドを改善したり、ヘルプサイトを開設したり、電話以外のチャネルとしてフォームでの問い合わせをリリースしたりするなど、数年間をかけて、様々なサポート施策を投下してきたことが徐々に実っていきました。また、エンドユーザーの問い合わせも、機能操作手順のお困りごとに留まらず、もっとこうなってほしいというようなプロダクトに関するお声や、Classiサービスを使って学校で実現したいことへの要望など、VOCの質も大きく変化していきました。
社内では、カスタマーサクセスとして、組織や体制が整備されていき、データドリブンでエンドユーザーへのアクションを判断していくような仕組みもつくられるようになってきました。しかしながら、すべての採択学校にハイタッチでアプローチするには限度がありました。そこで、ベルシステムさんのリソースをうまく活用してアウトバウンド施策を増やして、ハイタッチでフォローできない部分を補っていくようになりました。そのため、入電数が減少傾向にありながらも、リソースを減らすのではなく、インバウンドのリソースをアウトバウンドやインサイドセールスに転用していくことに力を入れ始めました。インバウンドからアウトバウンドやインサイドセールスに比重を置いていくことは理論上はできても、対応するコミュニケーターは人なので、簡単なことではありませんが、ベルシステムさんにはうまくやっていただけるだろうという信頼感や安心感がありました。それは、これまでのインバウンドでの経験から、顧客である学校や先生への理解、そしてプロダクトへの理解に大きな強みがあったからです。Classiというプロダクトは改善し続けているのですが、そのたびに知識をインプットしていただいたり、不明な点があれば顧客にリリースする前に質問をあげていただいたりするので、常にClassiのユーザーの目線で知識や情報のアップデートがされ、こちらも顧客への架電施策を安心してお願いできる土壌が整っていったんだと思っています」
和気様
「今、岡田が話したように、2021年くらいからVOC活動にも注力しています。プロダクトに関する改善要望を一元管理して、背景理解など要望の深掘りをした上で、プロダクトチームに連携して改善実装していく、というようなサイクルが構築でき始めています。そうしたプロダクト改善の優先順位をつける際に、例えば営業サイドはこの機能を早く改修してほしいと思っているけれど、もっとクリティカルなユーザーの困りごとはないかを検討する上で、窓口であるベルシステムさんにも優先順位をヒアリングしてご協力いただいています。
以前、そうやってプロダクトの改善要望の順位付けを社内とベルシステムさんでそれぞれ行った際には、見事に一致したこともありました。その結果にさすがだとプロダクトや企画のメンバーが感じて、そこから窓口の言っていることはユーザーの声を代弁しているんだとなりました。
また、プロダクトやサービスに対しての顕在化したニーズではなくても、ユーザーがなんとなく、よくないと思っているような、わだかまりの残るような問い合わせについてもタイムリーにあげて頂いています。私たちは「違和感」と言っていますが、そういった声を拾っていただくのも、ベルシステムさんの重要な役割になっています」
岡田様
「窓口が顧客の情報を最短で集約できているということを私たちが掴んでからは、VOCの具体的な活動もどんどん増えていきました。
それだけではなく、例えば、開発途中やリリース前にプロダクトをベルシステムさんに確認してもらうこともあります。ユーザー目線でみてもらったことで、気づいていなかったユースケースの発見など、直前でプロダクトを微修正してリリースしたという事例もありました。プロダクト開発におけるQA(Quality Assurance:品質管理)のような関わりを窓口が協力してくれています」
和気様
「エンドユーザーに提供しているマニュアルやガイドにも赤入れしてもらっています。また、問い合わせをきっかけに、こういうケースだとこういう挙動が起こるなど、開発時に気が付かけなかったようなユースケースのフィードバックをもらうこともあります。そんなところまでやっていただけるんだと本当に驚きました。
営業サイドがどういう動きをしているのかという点に関しても、業務システムに訪問記録やコンタクト履歴を残してさえいれば、ベルシステムさんが架電をするときに必ずそこを見てくれますので、大変助かっています。
他にもアウトバウンドでは、こちらからこのリストにかけてくださいとベルシステムさんに依頼しても、業務システムで過去の履歴を遡ってチェックいただいて、この学校は以前クレームがあったので架電は避けた方が良いのではと連絡をいただくこともあります。こちらが見落としていることも拾い上げてトスアップしてくれています。」
岡田様
「2022年から23年にかけてはアウトバウンドとインサイドセールスを合わせた対応件数を戦略的に増やしていき、インバウンドの件数を上回る状況が起きました。その結果、お客様が困った時に受けるコンタクトの数より、お客様により使っていただけるように働きかけるコンタクトの数がこれまで以上増え、コンタクトセンターへのリソースは同じでも中身や価値が大きく変わりました。
ただ、もちろんインバウンド、困った時に受ける問い合わせも大切にしています。これはさきほどもお伝えしたように、顧客の声をプロダクト改善に生かし続けていくためには絶対に必要な役割だと思っているからです。わざわざ電話をいただく必要はないように自己解決できるような施策を続けつつも、プロダクトサービスに関するご要望やご意見はきちんと受け止めて改善につなげられる役割を期待したいと考えています」
岡田様
「私はベルシステムさんを単にサポートデスクの委託先だと捉えていません。一緒にプロダクトを作り、エンドユーザーをサクセスに導く大事な仲間だと考えているので、リスペクトがあります。エンジニアのメンバーも、窓口がどう思っているかをすごく知りたがっています。これはClassi社にはミッションやビジョンの実現のために、仲間、チームを大切にするバリューがあって、社内外に限らず、ベルシステムさんもチームの一員なのです。
必ず毎年、感謝会という場を設けています。直接コミュニケーターさん全員に直接会うことは大切だと考えているので、センターのある広島に伺って、総括会をしたり、次に向かうための企画検討をしたり、オフ・コミュニケーションをしたりしています」
和気様
「コミュニケーターさん、一人一人と1on1をして、プロダクトに関してだけではなく、Classi側とのコミュニケーションなど、何か困っていることはないかをヒアリングしています。
ただ、ヒアリングと言っても、私たちとしては、むしろ教えてほしいという想いがあります。こちら側はメンバーも変わり、プロダクトの開発する人も変わっていく中で、ベルシステムさんは5年前から誰一人変わっていないので、過去の情報を一番知っているのはベルシステムさんなのです。
また、Classiに対して、コミュニケーターさんが愛着を持っていただいている実感もすごくあります。プロダクトが進化していくことに対しても、ワクワクしてくれているので、そこは私たちとしても一番嬉しいですね」
岡田様
「以前はベルシステムさんにコンシェルジェになってほしいと言っていたこともありましたが、現在はカスタマーサクセスパートナーになってほしいと伝えています。
それは、ただ単に丁寧で優しいだけではなく、サービスの発展や事業貢献に繋がることが重要になってきているからです。プロダクトを提供することだけがサービスではなく、サポートそのものもひとつのサービスとしてお客様に価値を感じていただけるかどうか、1件の問い合わせ、1件のアウトバウンド、細かい対応のすべてがお客様と関係性を継続するためにつながっていくと思っています。それが全社掲げて目標としている「カスタマーサクセス」の活動のひとつになっているのです。社内だけでは当然活動量が足りないので、カスタマーサクセス活動をドライブさせるパートナーとしてベルシステムさんのリソースや知見を活かしていきたいと思っています。」
和気様
「ベルシステムさんは『Classi』のプロダクト知識をClassiの社員よりも持っていただいていると思います。今後はさらに、ユーザーが問い合わせをしてきた背景を理解するところまでできたら良いと考えています。他にも、学校も日々進化していますし、私たちのプロダクトや提供するサービスも増えていますので、何かエラーが発生した際にはどこでエラーが起こっているのか、原因の切り分けや推測を効率的にできるようネットワークの知識もつけていければと思っています。こちらからも情報を積極的に共有して、一緒に対応の幅を広げて、ユーザーにさらに寄り添っていきたいと考えています」
岡田様
「事業を進めていくうえで、委託先として最適かどうかは毎年精査していますし、当然費用対効果があるのかどうかなど経営陣から厳しい目で見られます。ところが、お伝えしてきたように単なるコストセンターではありませんので、カスタマーサクセスのために欠かせない存在であることを、きちんと経営陣にも理解いただき、事業数値にきちんと貢献できるように胸を張れる成果を出していくパートナーとして共に進んでいきたいと考えています」
ここ5年間で退職者ゼロという驚異的な定着率を実現しているのは、Classi様のベルシステム24に対する深い信頼と、それに応えようとするベルシステム24メンバーの業務への愛着の強さ、その関係の良さによるものだと実感できるインタビューでした。
いわゆるイン、アウトバウンドというだけではない、営業チームやプロダクトチームのサポートといった面も含む、多岐にわたった業務を対応し、その存在がなくてはならないものとなっているからこそ、ベルシステム24はカスタマーサクセスパートナーとClassi様に呼んでいただけているのだと思います。
これからも、その深い業務知識とヒアリング力を活かして、ベルシステム24はClassi様を側面から支えていきたいと考えています。
Classi株式会社 様
「子どもの無限の可能性を解き放ち、学びの形を進化させる」をミッションに掲げ、「Classi」「tetoru」などの教育サービスを展開。授業や面談、学校と保護者のコミュニケーションなど、学校現場の多様なシーンで活用される教育プラットフォームを通じて、学校教育をテクノロジーで支援しています。