顧客満足度と定着率がダブルで向上! データに基づき、人を活かし、オペレーションを進化させる AOLとは?

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現在、ベルシステム24の業務全体の中で約25%が導入している業務標準化の仕組みがあります。AOL(アドバンスド・オペレーション・ラボ)と名付けられたその仕組みは専門家チームにより統計分析を用いたデータ活用と、現場運用の知見に基づいたセンター構築によって、多くの業務で成果を上げ続けています。

ベルシステム24の中期経営計画の重点施策として掲げられている「データ活用の高度化/型化」を推し進める上でも強力な打ち手になることが期待されているAOL。今回は、そんな仕組みを先導するAOLチームのキーマン、古川しのぶと今ゆうみにAOLの発端から、その詳細、そして現場、クライアントに及ぼす効果について話を聞きました。

話を聞いた人

ベルシステム24 AOL局マネージャー
古川 しのぶ
同 担当マネージャー
今 ゆうみ

2024年8月26日時点

AOLのスタート

古川
「ベルシステム24の中に以前、グローバルのクライアントに相対する業務を行っている部署がありました。私を含めたAOL初期メンバーの多くは元々その部署に所属していて、部署で培ったマネジメントスタイルを他の業務にも取り入れたいと考えていました。しかし、どうしてもグローバル基準になってしまい、そのままでは日本の企業には合いませんでした。それを日本企業に向けてベル独自の運用メソッドとして作り変えようとしたのがこのAOLの発端になります。
そこから生まれたWFM(ワークフォースマネージメント)の考え方にベルがもともと持っていたQA(クオリティアシュランス)とTR(トレーナー)の知見を組み合わせてAOLの前身のプロジェクトがスタートしました。
前身のプロジェクトからDA(データアナリスト)も構想としてはあったのですが、最初はチームとしては存在しておらず、WFMから派生してチーム化していきました。
こうしてDA(データアナリスト)、WFM(ワークフォースマネジメント)、TR(トレーナー)、QA(クオリティアシュランス)の4つのチームが揃ったことでAOLがスタートしました」

AOL局
マネージャー
古川 しのぶ

AOLを構成する4つのチームとは?

古川
「まずDA(データアナリスト)チームですが、こちらは皆様が想像されるように統計分析を扱うチームです。このチームに関しましてはAOLを導入している業務の定性定量データを一元管理しています。
それらのデータを基に分析をして、業務ごとの課題の特定や、施策の効果検証などを行っています。その際、統計学準一級レベルの知識を持ったメンバーが、その知識を活用し統計分析を行っているところが大きな特徴です。
また業務のIT化を進める役割も担っています。アプリケーションの開発、あとはBIツールを活用してのUIの構築、そしてここが一番比重が大きいのですが、ベルシステム24独自のデータベースの構築もおこなっています。
こうしたIT人材は業務の中での育成と、一部は社内外から戦略的に集めていきました。BI系の知識を持ったメンバーであったり、Python(パイソン)でアプリケーションを構築できるようなメンバーであったりをアサインし、そこから他のメンバーに知識を波及させていきました。
クライアントにAOLのお話をさせていただいても、やはりDAがいるのが強みだと皆さん口を揃えておっしゃいます」

古川
「WFM(ワークフォースマネジメント)チームは呼量予測と人員配置、そして当日の稼働管理を司っています。コールセンターにおいてはまず一番上流で精度の高い呼量予測が必要になります。これを立てることによって、最適な人員というのをあらかじめ配置することができるようになります。さらに、それを当日運用していくまでをWFMで担当しています。
グローバルのWFMの考え方は呼量予測と人員配置の2つの仕組みしかありませんでした。先ほどもお伝えした通り、それだけだと日本の現場では運用がうまくいかなくなって破綻してしまうということが発生していました。そのため、日本版では稼働管理という仕組みを取り入れています。実際の予測と人員配置を基に、当日の稼働の管理を統計を活用して行っています。
詳しく説明すると、1日の中で配置を調整する場面が出てきます。例えば、呼量の予測が直近の実績を反映させるとある時間帯で跳ね上がるから、ここで早めに人を休憩に入れて、ここは人を多めに着座させようといったことです。そういった際に、WFMチームではアーラン式(コールセンターでコール予測から要員配置計算を行う際の計算式)を組み込んだ差異予測ツールなどを用いて1日の中で予測を実績に合わせて繰り返し行い、配置を調整しています。また予実も必ず蓄積しているので、調整の精度を高めるために何が必要か、データを基に話をすることができます」

古川
「TR(トレーナー)チームは、コミュニケーターの定着率を担保しています。コミュニケーターは誰しも入社から様々な経験を経てデビューし、業務に従事していきますが、それぞれのフェーズでしっかりとそのフェーズに合った施策をTRチームが打っています。業務によっては、新人期間が終わると、すぐに現場で既存のメンバーと同じように扱われる業務もあると思います。しかし、AOLでは、コミュニケーターがデビューをしてから12週間においては、トレーナーが責任を持ってフォローをするという施策を行っています。統計的にもこの期間が最も定着率が悪化しやすいと言われているからです。
12週間の育成プランの中でKPIターゲットを定め、週毎の施策を型化し、育成プランに基づいた施策を行い、KPI達成の進捗をトラック・可視化しています。
その結果、1年後の定着率がAOLに参画いただいている業務においては85%から88%で推移しています。これはベルの他の新人採用や研修を行っている業務より、3割から4割ほど高い数字になっています」


「QA(クオリティアシュランス)チームは、リーダーを務めています私から説明します。QAチームは顧客満足度と応対品質を管理しているチームです。ベルにおいて品質管理は今まで、応対の品質をメインに見ていました。ただ、応対の品質だけを磨いていっても、他社との差別化にはなりません。そのため、私たちは品質と併せて、顧客満足度を見ています。エンドユーザーがサービスを利用する際、何かが満たされるから買ったり利用したりしていると思います。そうした『満たされる』ということを突き詰めて言語化すると顧客満足度に繋がると私たちは考えています。そのため、今後、商品やサービスの維持向上をしていくには、この顧客満足度がすごく大切になっていくと思います。
顧客満足度の測り方として、ひとつはお客様アンケートを活用しています。更にお客様との対話を感情解析することで、顧客満足度を測ることもできるようになっています。
また、セルフアセスメントという施策も現在一部で取り入れています。これは、応対に関して顧客からどういう評価が返ってくるかをコミュニケーターが自身で評価する施策です。
顧客満足度のアンケートメールはお送りしても返礼率が高くて30%前後となり、裏側の70%のお客様の評価は測ることができません。この施策ではコミュニケーターが全件、自己評価をつけることで、本来返答がないはずの70%のお客様の満足度をコミュニケーターの評価から推し量ることが目指されています。
そのためにも、コミュニケーターが顧客の満足度を意識しながら応対をし、顧客評価と自己評価の乖離を埋めていくことが必要となります。この乖離が埋まれば必然的に顧客満足度も上がると私たちは考えています。
最終的にコミュニケーターの評価がイコール顧客評価となれば、全てのお客様の顧客満足度を知ることができるようになります。クライアント目線でも、そこはとても大きなメリットになります」

AOL局
担当マネージャー
今 ゆうみ

標準化成長サイクルを回していく

古川
「標準化成長サイクルは、その名の通り、オペレーションが成長するためのサイクルを標準化(=型化)したものです。前提としまして、先ほどお伝えしました通り、AOLは導入している業務のデータをDAチームで一元管理しています。このサイクルの中でこうしたデータが活かされています。この図には1から7まで番号振られていますが、この番号を漏れなく順番通りに回すことで再現性が担保できるような仕組みとなっています。1、ここがまず肝になります。DAチームが一元管理をしているデータに、分析軸を入れたデータベースを作ります。ここで課題を洗い出し、次のカンファレンスに繋げていきます。
2のカンファレンスは3つのフェーズに分かれています。ここで何をするかというと2の1では各専門チームのリーダーが集まりデータベースを基に業務ごとの方向性を示します。例えば、TRのリーダーが2の1で集まった場合には分析結果を見て、この業務に対してはこういう集合研修が打てそうだというような方向性を出します。
2の2では、各専門チームのメンバーも集まり、その方向性を踏まえ具体策を決めます。先ほどの例でいくと、こういう研修するにあたり、具体的にどういう期間で誰をアサインして対象者は誰にするのかというところを決めていきます。
ここまで決まりましたらば、2の3で、実際にオペレーションで実行していくメンバーに、課題や具体策の共有を図り、3のアクションに進むというような流れになります。つまりカンファレンスとはDAが定量的な情報から導き出した課題とその解決策を現場にブレイクダウンしていく仕組みと言えます。これによって現場に納得感が生まれます。

アクションを実行したのち、4の経過観察で、想定した効果が出ているかどうかを確認します。効果が出なければ、カンファレンス2の1の方向性が合っていたか、アクションがちゃんと上流から網羅できていたかというところに立ち返って、もう一度、2のカンファレンスからサイクルを回します。成長が見られたら、5の症例報告に進み、良かった事例も悪かった事例も必ずデータ蓄積を行います。好事例は横展開していき、ベルのノウハウとしていきます。このサイクルを標準化成長サイクルと呼んでいます。
実際の効果として、グローバルのクライアント業務で、70%程度だった顧客満足度が90%強まで向上し、グローバルにおいてナンバーワンになったというような事例もあります。
また統計やITを活用した先進的な施策を行っていることに対して、クライアントの社長から感謝のメッセージをいただいたこともありました。AOLを導入することで、再現性のあるアクションを継続的に行うことができ、また、データを蓄積しノウハウの活用や、未来の予測・計画などに活かすことができる点はクライアントからとても喜ばれていると感じています」

参加型学びの場

古川
「DA以外のチームは週1回、リーダーから現場メンバーに向けた勉強会を開いています。勉強会の後には必ず、理解度確認のテストを行っています。それだけではなく、実際に勉強会で学んだ運用を現場に導入してもらい、その効果をトラックすることで、運用がうまくいっているどうかを見ていきます。学ぶだけでなく、習得をしたものを現場に活かすところまでしっかりと確認し、学びっぱなしで終わりにしないところに特徴があります。
毎週課題も出ますし、研修のやり方も工夫していて、一方的に教えるのではなく、双方向のコミュニケーションを意識しています。参加者は当てられたら答えられるように緊張感をもって出席しています。実りがあるものにするためにそういった進め方をしています。
クライアント側から見ても、このような学びの場によって現場の運用が標準化されているので、安定的なパフォーマンスを期待できるメリットがあります。
AOLの最大の特徴であるDAに関しても、育成の仕組みがあることが強みです。クライアント側にDAが在籍している場合もありますが、DAを育成する仕組みを持っているところは少ないと思います。私たちはしっかりと2年間で統計検定準1級レベルまで学べるカリキュラムを用意していています。
また、全社向けには、今期から統計とITの勉強会を開いています。統計勉強会の内容としては、統計学とは何かというところからはじまり、回帰分析などの統計学の基礎知識を学びます。ロジックを理解したうえで、実際の業務で分析を活用できるようになることを目標としています。
IT勉強会では、実際に業務のデータを収集・整理する方法を学び、データや統計で導き出した結果をダッシュボードで構築・可視化できる状態を目指しています。これらを今期1年かけて希望の方々に学んでもらっています。ベルシステムとしても、こうしたデータに対する基礎力を全社的につけていく事が強みになると考えています」

今後の展望

古川
「まずは、エンドユーザーあっての会社なので、エンドユーザーの声を様々なサービスに転嫁して世の中を豊かにしていきたいと考えています。また既に5年、10年先までAOLの構想はありまして、細かいところはまだお伝えできませんが、今後はコールセンター以外の領域にも率先して取り組んでいきたいと思っています」

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