お話を伺った方
DMe カスタマーサービス&サポート本部 Japan&APAC 執行役員 本部長 辻 寿 様
サポートを通じてロイヤル顧客を獲得をしたい方
グローバルスタンダードに沿った難易度の高いサポートを求めている方
お客様満足度の向上をはかりたい
サブスクリプション・サービスの継続利用率を高めたい
コミュニケーターのエンゲージメントを高め、定着率を向上させたい
コンタクトセンター
カスタマーサポート:お客様からの料金、IDなどに関する問合せ対応
テクニカルサポート:お客様からの製品操作、トラブルシューティングに関する問合せ対応
お客様への継続利用案内
お客様満足度が10%近く向上
40%を超えるリテンション率を実現
エンゲージメントが高まり、コミュニケーターの離職率が年間1.4%まで低減
DMe カスタマーサービス&サポート本部 Japan&APAC 執行役員 本部長 辻 寿 様
アドビ株式会社(以下、アドビ)は、日本法人として1992年に設立されました。『Photoshop』『Illustrator』といった知名度の高いクリエイティブ系パッケージソフトを提供する同社ですが、2012年からクラウド経由で提供するサブスクリプション・サービスへの移行を推進してきました。「お客様がアドビの製品を試用、サポートを受け満足した結果、継続的に利用いただくという、一連のカスタマー・ジャーニーの中で、コンタクトセンターは大きな役割を占めています。
電話対応を行うコミュニケーターは、『クリエイティブ・アドバイザー』と呼ばれ、単なるお客様からの問合せ対応ではなく、アドビ体験をよりよいものにする役割を担っています。コンタクトセンターは事業成長にも大きなインパクトを与える部署であるため、私自身も誇りを持って仕事に取り組んでいます」と辻氏は話します。
特に重要な指標となるのがお客様満足度。
「サブスクリプション・サービスの成長に欠かせないリテンション(お客様の継続利用の促進)とお客様満足度の間には、密接な関係があると捉えています」(辻氏)。
アドビにとって日本は米国に次いで世界でも2番目に大きな市場である一方で、日本市場のお客様の特性に対応できておらず、2020年頃までお客様満足度は決して高いとは言えない状況でした。
2021年からはアドビのサポートチームのグローバルビジョンとして「Best in class(業界内最高)のサービスを提供」を掲げ、日本でも改めてお客様満足度向上のための取り組みが始まりました。
アドビの製品は非常に多岐にわたっており、クリエイティブ系だけでも20以上の製品があります。さらにこの数年でいくつも新しい製品が加わっており、新任のクリエイティブ・アドバイザーが1ヵ月トレーニングを受けても到底全てをカバーできるほどの知識や応対スキルは身につきません。より良質のお客様体験(CX)を提供し、お客様満足度を高めるために、何ができるか。クリエイティブ・アドバイザーから管理者への質疑応答をデジタル化し、ナレッジを蓄積・活用することで運用の効率化をはかると同時に、アドビの協力のもと、様々なエンゲージメント向上施策を実施しました。
全クリエイティブ・アドバイザーがアドビ製品に触れられるよう、主力プロダクトであるAdobe Creative Cloudのライセンスを無料付与しており、Photoshopで写真を加工したり、Illustratorで絵を書いたり、Web制作や動画編集をするなど、様々なクリエイティブソフトウェアを使用することができます。これらを利用して作成したクリエイティブ作品のコンテスト開催や、アドビ認定資格の取得助成をすることで、多くのクリエイティブ・アドバイザーが自然に製品への理解を深められる仕組みを作りました。
アドビ主催で開催された全世界のクリエイティブ・アドバイザーを対象とするイラストコンテストでも、ベルシステム24のクリエイティブ・アドバイザーがグランプリを獲得し、その作品はアドビ社内で高い評価を得たそうです。
このような環境作りにアドビが協力的なのは、お客様満足度向上のためばかりではありません。辻氏は「アドビではパートナー企業を『ファミリー・パートナー』と呼び、自社の社員だけではなく、ファミリー・パートナーのエンゲージメントも重要視しています。私の上長にあたる副社長も報告書を見て、稼働が高いクリエイティブ・アドバイザーがバーンアウトしていないだろうかといつも気にかけています。必要に応じて、状況を改善する手段の検討もしています」と話します。コンタクトセンターの壁面にはセンター内でデザインしたクリエイティブ作品が大きく掲示され、クリエイティブ・アドバイザーは自らがアドビの一員であることを意識しながら業務に取り組んでいます。
アドビのエンゲージメント重視の姿勢のもと様々なエンゲージメント施策が行われることで、クリエイティブ・アドバイザーたちには自然に「アドビ愛」が育まれています。その結果として、退職率は1.4%まで下がりました。「退職率1.4%というのは、グローバルで見ても、また他業界のコンタクトセンターと比較しても非常に低い」と、様々な業界のコンタクトセンターを見てきた辻氏にとっても、驚くべき数値のようです。
アドビのグローバル基準に則り、ベルシステム24はスペシャリストチームを編成しており、シフト管理やトレーニング、品質評価、採用など、それぞれの専門チームがクリエイティブ・アドバイザーの育成やマネジメントを担います。エンゲージメント施策によって定着率が向上し、グローバル基準に対応した教育・マネジメント体制のもとスキルを積みあげることで、センター全体の応対品質の底上げにつながり、お客様満足度85%を実現したほか、リテンション率は40%以上とグローバルNo.1に輝きました。
「特に2022年最初の四半期は、日本とアジア太平洋地域において、ベルシステム24のお客様満足度調査の結果が過去最高レベルに達しています。また、リテンション率40%という数値を達成したことは、グローバル全体の数値への意識にも影響を及ぼしています。これまでは10~20%程度というのが業界の常識となっていましたが、日本のコンタクトセンターが40%という数値を出したことで『頑張ればもっと上がる』という認識に変わってきたためでしょう。日本だけでなく、グローバルのリテンション率向上に貢献してくれたと言ってもいいと思います」と辻氏は言います。
アドビでは、お客様からの要望などを製品に反映させるため、グローバルで「ヴォイス オブ エージェント プログラム」という、お客様からのフィードバックを本社に集約するプロジェクトを実施しています。「世界で一番多くの声を集めているのが、ベルシステム24のクリエイティブ・アドバイザーの皆さんです。ここで集めた声が既にいくつも製品に反映されています」(辻氏)。ベルシステム24のクリエイティブ・アドバイザーは、アドビ製品の進化にも貢献しています。
アドビのコンタクトセンター委託先で、世界で唯一のローカルベンダーでありながら、グローバルで選ばれたベンダーを超える成果を生み出し、パートナーとして選ばれ続ける理由は何か。
辻氏は「優秀なクリエイティブ・アドバイザーが多く、フレキシビリティが高いのがその理由」と分析します。1点目のクリエイティブ・アドバイザーの品質については、常にお客様満足度90~95%という高い水準を維持しながら、問合せへの応対時間も短いハイパフォーマーが多く、エンゲージメント施策やグローバル専門チームによる教育の成果の一つになっています。「Webで検索すればすぐに答えが出てくる時代だからこそ、電話での問合せも『エフォートレス』、つまりお客様が無駄な手間をかけることなく答えにたどり着けることが求められます。それができるハイパフォーマーが多いのは、ベルシステム24ならではと感じます」(辻氏)。
そして、2点目のフレキシビリティとは、変化に対応する力。サブスクリプション・サービスに移行したのも、そもそも、お客様に新しい製品をどんどん試していただきたい、という想いがベースにあったからだそうです。「ビジネス環境の変化が速い現代においては、コンタクトセンターも常に変化していかなければなりません。その点、ベルシステム24は従来の運用にとらわれるのではなく、『何ができるか』『どうすればできるか』を考えてくれる柔軟性があります。一緒にビジネスを盛り上げて行こうという姿勢が感じられて心強いですね」と辻氏は言います。今後もアドビのカスタマー・ジャーニーを支え、事業の発展を目指して、ベルシステム24も更なる改善を推進していきます。
アドビ株式会社 様
アメリカに本社を置く、ソフトウェア会社。代表的な製品は『Acrobat Reader』『Photoshop』『Flash Player』など。2012年に月額課金制の『Adobe Creative Cloud』を発表した。2020年度の売上高は128億7,000万ドル。従業員数は約23,000名。