CONTACT CENTER Wiki オムニチャネル

Xでシェアする Facebookでシェアする Lineでシェアする URLをコピーする

オムニチャネル

オムニチャネルとは、店舗やオンラインストアなどあらゆるチャネルを統合し、すべてのチャネルにおいて同質の利便性で商品を購入したり、サービスを利用したりできる環境を実現することです。コールセンターにおけるオムニチャネルとは、個々の応対チャネルの垣根を超え、様々な応対チャネル(電話、Eメール、チャット、LINEなど)の対応データを統合し、顧客に一貫性を持った経験を提供可能にすることをいいます。顧客満足度の向上において、重要性が高い取り組みとして認識されているコンセプトです。

「個々の顧客」との強い関連性の追求

「企業と顧客の接点」という意味では、コールセンターは企業が保持しているチャネルのひとつです。そして、コールセンターの中にも、複数の応対チャネルが存在します。コールセンターにおけるオムニチャネル戦略とは、複数の応対チャネルを横断したシームレスな体験により、顧客へとさらなる利便性を提供するという考え方です。
コールセンターにおけるオムニチャネル化は、顧客とのコンタクトの様々な応対チャネルに蓄積させる顧客と対応データの一元化で実現されます。現在、電話、メール、チャット、LINEなど多様な顧客との接点のチャネルが存在します。単純に顧客との接点が増えた一方で、チャネル間で情報の共有が行われていなければ、顧客に不便を感じさせてしまう可能性があります。顧客にとってはどのチャネルにおいても問い合わせしているのはひとつの「企業」です。他チャネルの情報が共有されていないことによって顧客に不便を感じさせてしまう、「マルチチャネル」ならではのリスクには警戒が必要です。
オムニチャネルでは、こうしたマルチチャネルによる弊害をなくすことを主眼としています。すべてのチャネルの問い合わせ情報を共有すれば、顧客がどのチャネルで問い合わせても内容を把握できます。例えば、電話番号を登録している顧客から入電があった際は、その顧客の属性や行動履歴などを着信時にすぐに把握でき、より迅速な顧客対応が可能になります。
オムニチャネルの取り組みにおいて「顧客」は単一化された集団ではなく、「商品・サービスを購入・利用している個人」です。コールセンターの対応においても、個人を認識するのに加え、前述の属性や行動履歴を知る必要があります。顧客にとって、企業に「個人」として認識されている事実は、ロイヤルティに直結する経験です。このように、オムニチャネルによる「個人を対象にした、チャネルを超えた情報共有」は、企業と顧客との間に強い関連性を生みます。
コールセンターは、顧客が何らかのトラブルに遭遇した際に利用されるケースの多いチャネルです。このことから、コールセンターでの対応内容や対応のクオリティは、顧客の印象に与える影響が大きい傾向にあります。企業が行う全体的なオムニチャネルの戦略においては、コールセンターが担う役割はとりわけ大きいといえます。

導入は大規模な管理システム・教育の見直しが必要

オムニチャネルの取り組みは、顧客の利便性向上を目指したものです。この目的に関しては、開設当初のコールセンターが取り組むことになるトークスクリプトの確立や、対応の均質化と同様です。しかし、コールセンターがオムチャネルのシステム導入を目指すときは、上述したようなコールセンターの基本的な取り組みとは別に、管理体制レベルの変更が必要になる場合があります。
先に述べたような顧客情報管理システムの導入は、電話、メール、チャット、LINEといった応対チャネル別で、すでに顧客関係管理(CRM/Customer Relationship Management)の体制を整えている企業にとって、非常に大規模なシステム構築です。店舗を構えている企業では、実店鋪と他の応対チャネルの間で情報共有を行うシステムの導入も必要となります。単にチャネルを増やすことに注力すると、こうした全体的な情報共有がおろそかになり、顧客に不都合を感じさせてしまう可能性もあります。
また、オペレーターをはじめとする人材それぞれが、所属しているチャネルにとらわれない顧客対応を行うことも重要です。顧客にとって各チャネルで接するスタッフは、すべからく「同じ企業の人間」です。コールセンターのオペレーターはこれを自覚し、他チャネルで生じたトラブルも、「自社で起きたことである」と、当事者意識を持って臨む必要があります。
システム、オペレーターの教育において大規模な取り組みの刷新が求められるオムニチャネル化ですが、多くの企業で実践されている理由は、「顧客との強固な関係性」の重要さが見直されているからです。企業にとって既存顧客の囲い込みを行い、関係性を強めていく取り組みは、顧客からの安定した評価獲得につながります。新規顧客の獲得と同様に、既存顧客を維持していくメリットは大きいため、オムニチャネル化は大規模な管理システム・教育の変更を行うに値する取り組みとして認識されています。

オムニチャネル化によって顧客満足度向上を実現する

既存顧客の囲い込みを行ううえで、顧客満足度向上の取り組みは非常に重要です。そして、オムニチャネル化は、この顧客満足度の向上を実現させるうえで大切なコンセプトとして注目されています。
チャネルの隔たりなくサービスを利用できる体制を整えれば、顧客にとって極めて利便性の高い企業として認識される確率が高まります。サービスの内容・商品のクオリティとともに、この利便性は顧客満足度に大きな影響を与える要素です。サービス・商品の質とともに、高い利便性を付加させれば、中長期的な顧客満足度の向上が期待できます。
顧客満足度の向上において重要なのは、顧客に「感動」を与える取り組みです。そして、顧客に感動を与えるためには、顧客の期待値を超えてサービス提供を行う必要があります。オムニチャネルによって実現される「チャネルを飛び越えた顧客との関係」は、高い利便性によって顧客に感動を与えます。
インターネットをはじめとするテクノロジーによって、実店鋪以外のチャネルが急増しました。顧客と企業の接点が増えた一方で、各チャネルの情報共有は完璧とはいえません。そうした中、先んじてオムニチャネル化を推進していくことは、顧客に与える感動につながります。

オムニチャネル化したクレーム対応で顧客に感動を与える

コールセンターは、顧客のクレームに対応する窓口として知られています。温度感の高い顧客に対してどのように対応していくかは、さまざまな産業のコールセンターにおいて課題です。オムニチャネル化は、こうしたクレーム対応においても有効な取り組みとして注目されています。
複雑化した案件になるほど、顧客の申告によってシチュエーションを把握するのは困難です。複数回の問い合わせが伴うクレームでは、時間のかかるヒアリングが顧客のさらなる温度感上昇の原因となってしまうケースは少なくありません。オムニチャネル化によって各チャネルの情報共有が十分に行われていれば、本人確認さえ終わらせばオペレーターは顧客のシチュエーションを速やかに把握できます。
クレームをコールセンターに投げかける顧客は、一部を除きリピーターになる可能性を秘めています。顧客の期待を超えた、「感動」を与えるクレーム対応を行うことは、非常に重要です。チャネルを越えた情報共有によるクレーム対応は、クレームを感動に転じさせ得る取り組みです。

次世代コンタクトセンターのあり方を考える専門サイト。コンタクトセンターに関するブログ公開中。

READ MORE

RELATED SOLUTION関連ソリューション

QUALITY MANAGEMENT/TRAININGコールセンター品質・教育・研修

OTHER CATEGORIESその他のカテゴリー